変圧器の損失と最大効率運転パターンを求める問題。
- 難易度 ★★★☆☆
- 重要度 ★★★★★
全負荷時の効率を求める
\begin{eqnarray}
η=\frac{出力}{入力}&=& \frac{出力}{出力+損失} \\
&=& \frac{Scosθ}{Scosθ+Pi+Pc}\\
ηα=\frac{出力}{入力}&=& \frac{出力}{出力+損失} \\
&=& \frac{αScosθ}{αScosθ+Pi+α^2Pc}\\
\end{eqnarray}
η:全負荷時効率、S:変圧器定格容量[kVA]、cosθ:力率、Pi:鉄損[kW]、Pc:銅損 [kW] 、ηα:α負荷時の効率、α:負荷率
問題文より定格容量の負荷を接続しており、力率も100%なのでη₁.₀は全負荷効率である。
\begin{eqnarray}
η=\frac{出力}{入力}&=& \frac{出力}{出力+損失} \\
&=& \frac{Scosθ}{Scosθ+Pi+Pc}\\
Scosθ+Pi+Pc&=& \frac{Scosθ}{η}\\
Pi+Pc&=& \frac{Scosθ}{η}-Scosθ\\
&=& \frac{300\times1}{0.9898}-300\times1\\
&=& 3.0915 ≒ 3.092[kW] \\
\end{eqnarray}
よって問Aの答えは3.092[kW]であることが分かる。
電圧変動率から負荷損を求める
電圧変動率の近似公式
\begin{eqnarray}
ε&=& \frac{I₂nR₂cosθ+I₂nX₂sinθ}{Vn} \\
&=& pcosθ+qsinθ \\
p&=& \frac{I₂nR₂}{V₂n}\times100 \\
q&=& \frac{I₂nX₂}{V₂n}\times100 \\
%z&=& \sqrt{p^2+q^2} \\
\end{eqnarray}
ε:電圧変動率、I₂n:2次側定格電流[A]、R₂:換算後の1次側、2次側巻線抵抗の合計[Ω]、cosθ:力率、X₂:換算後の1次側、2次側リアクタンスの合計[Ω]、sinθ:無効率、p:百分率抵抗降下[%]、q:百分率リアクタンス降下[%]、V₂n:2次側定格電圧[V]、%z:パーセント短絡インピーダンス[%]
負荷損とはつまり電力損失である。百分率抵抗降下は抵抗で発生する電圧降下の割合(=損失割合)を指すので、全体の負荷の中の百分率抵抗降下分が損失となる。
そのため、電圧変動率から百分率抵抗降下を求める。
問題文よりcosθ=1なので、sinθ=0であるから以下のようになる。
\begin{eqnarray}
ε&=& pcosθ+qsinθ \\
p&=& \frac{ε-qsinθ}{cosθ} \\
&=& \frac{0.931-0}{1} \\
&=& {0.931[%]} \\
\end{eqnarray}
百分率抵抗降下が求まったので、それを用いて負荷損を求める。
\begin{eqnarray}
P(損失)&=& S\times{p} \\
&=& 300\times{0.00931} \\
&=& {2.793[kW]} \\
\end{eqnarray}
よって問Bの答えは2.793[kW]であることが分かる。
参考に、以下のように導出できる。電圧変動率等は電圧の比だが、分子と分母に電流を掛けることで電力の比で考えることができる。
\begin{eqnarray}
p&=& \frac{I₂nR₂}{V₂n}\times100 \\
&=& \frac{I₂nR₂}{V₂n}\times\frac{I₂n}{I₂n}\times100 \\
&=& \frac{I₂n^2R₂}{V₂nI₂n}\times100 \\
&=& \frac{P(損失)}{S(今回cosθ=1のため=P)}\times100 \\
\end{eqnarray}
無負荷損を求める
損失=負荷損+無負荷損である。全損失と負荷損が分かっているので、
\begin{eqnarray}
全損失&=& Pc+Pi \\
&=& 3.092-2.793 \\
&=& {0.299[kW] = 299[W]} \\
\end{eqnarray}
よって問Cの答えは299[W]であることが分かる。
最大効率時の負荷率を求める
鉄損と銅損は以下の関係で表される。Pi=Pcの時、変圧器は最大効率となる。
PiとPcが分かっているとき、αは最大効率の時の負荷率となる。
\begin{eqnarray}
Pi&=& α^2Pc \\
α&=& \sqrt{\frac{Pi}{Pc}} \\
\end{eqnarray}
Pi:無負荷損(鉄損)[kW]、Pc:負荷損(銅損)[w]、α:負荷率
無負荷損と負荷損が分かっているので公式に代入する。
\begin{eqnarray}
Pi&=& α^2Pc \\
α&=& \sqrt{\frac{Pi}{Pc}} \\
&=& \sqrt{\frac{0.299}{2.793}} \\
&=& 0.32719 ≒ 32.7[%] \\
\end{eqnarray}
よって問Dの答えは32.7[%]であることが分かる。
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